8200系は1995年に登場した通勤形電車である。

概要

神戸線では1980年代以降通勤客が増加し、輸送力に限界が来ていた事からラッシュ時の増結用として本形式が製造された。本形式は8000系の派生系列であるが、車体や機器に試作的要素が強いため、5200系や2200系と同様百の桁が2になっている。

1995年に2両2本が投入され、6月12日に営業運転を開始した。

構造

外観は8000系に準じているが、扉幅を従来の1,3mから1,5mに拡張した関係で扉間の窓数は従来の3から2に減少している。行き先及び種別表示は前面は字幕だが、側面は3色LEDが初めて採用された。

車内

内装は阪急の伝統的なデザインで座席はオールロングシートであるが、ラッシュ時の混雑が最も激しくなる梅田寄りに連結する事を前提として関西の鉄道で初めて収納式の座席が採用された。しかし以前よりもラッシュ時の混雑が緩和された事と全座席収納に不満の声が高まってきた事から現在は座席収納は廃止されている。

即扉の上には千鳥配置でLEDの車内案内表示器と14インチの液晶ディスプレイが設置されており、FM大阪のニュース(見えるラジオ)や天気予報・沿線情報等が表示される。つり革も阪急で初めて枕木方向にも設置し、かつ初めて三角形が採用された。

制御装置

VVVFは8000系と同じく東芝製のGTO素子であるが、本形式では1C1Mの個別制御方式を採用した。主電動機は将来的にスピードアップが可能になるよう設計最高速度は130km/hとなっている。駆動装置は神宝線系統で標準のWNドライブで、高定格回転数のため歯車比を8000系の5,31から6,13に引き上げて定格速度を8000系と揃えている。また、この電動機は8両編成に増強した場合に各電動車に4基ずつ搭載する事で最高速度130km/hの条件でもMT比3M5Tでの運転が可能となる。

改造

座席収納の廃止に伴い、2007年12月から2008年3月にかけて正雀工場で以下の改造が施された。

スタンションポールの撤去。
枕木方向に設置されていたつり革の撤去。
つり革の握り部を三角形から円形に変更。
座席折りたたみ機能を廃止し、9000系に準じた仕切り板付きのロングシートに変更。
パイプ式荷棚を9000系と同じ棒状の物に変更。
床をタイル状の模様入りに変更。
車内の製造銘板がアルナ工機の表記のみになる。

運用

当初は朝の梅田行きの通勤急行の増結に使用され、その後夕ラッシュの山陽直通特急の増結にも座席使用可能状態で使用されるようになった。但し、山陽では6両までに制限される事から三宮で分割併合が行われていたが、1998年2月15日のダイヤ改正で阪急の山陽乗り入れが廃止された事で、夕ラッシュの運用は廃止された。

それ以降は三宮発7,25と7,38分の梅田行きの通勤急行2本に西宮北口駅で増結される運用のみが続き、通常の営業運転では全て立ち席扱いだった。また、本形式が検査の時は他形式が代走していた。

本形式では新機軸が色々盛り込まれており、ラッシュ時の混雑緩和に威力を発揮したが、運転開始前の1995年1月に発生した阪神淡路大震災や、復旧後にJR西日本が223系を投入して競争力が向上した事で混雑が緩和された事と座席が収納されていて着席できない事に乗客から不満の声が高まった事から本形式は初年度の2編成4両で製造が打ち切りとなった。その後宝塚線でラッシュ時の増結用車両が必要になった時は8000系の車体に本形式の性能を組み合わせた8040・8190形に切り替えられた。2007年10月29日から優先席復活に合わせて座席使用が可能な状態で運転された後は9000系に準じた内装に更新された。それからは三宮駅で増結される通勤特急等にも運用されるようになり、以前よりも幅広く運用されるようになった。但し、ラッシュ時の増結用である事から定期運用は平日の朝夕のみに使用されている。

路線

神戸線 三宮・梅田

種別

神戸線 通勤特急 通勤急行 他

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